学習スタイル別のつまずき場面を比較

通信制高校は、自分のペースで学べる反面、締切・出席・試験を自分で整えられないと単位が取りにくくなります。実際、高校全体でも中途退学率は毎年一定数あり、令和4年度は 1.4% でした。 (文部科学省)
通信制では「年度間退学」の割合が公立・私立で示される資料もあり、令和元年度間は 公立8.2%、私立4.7% と整理されています(※指標が別なので、単純比較はしません)。 (文部科学省)
この記事では、通信制の仕組みを「単位を落とす場面」から整理し、
自宅学習型/オンライン型/通学サポート型(サポート校併用)の3スタイルで、つまずきやすい点を比較します。
単位を落とす原因は、まずこの4つを疑う
通信制で単位認定に関わりやすいのは、ざっくり次の4点です。
- レポート(添削課題)の未提出・不合格
- スクーリング(面接指導)の出席不足
- 単位認定試験の不合格
- 特別活動の不足(卒業要件側の落とし穴)
特に4つ目は盲点になりがちです。通信制でも、卒業までに特別活動は30単位時間以上の指導が必要とされます。 (文部科学省)
また、通信制の学習は「添削指導(レポート)」と「面接指導(スクーリング)」を組み合わせて行い、少なくとも1単位につき添削指導1回以上・面接指導1単位時間以上を確保した上で各校が設定します。 (文部科学省)
【比較表】学習スタイル別・つまずきやすい場面
| つまずき場面 | 自宅学習型 (自宅中心) | オンライン型 (ネットで支援) | 通学サポート型 (対面支援) |
|---|---|---|---|
| レポート(締切管理) | 最難:先延ばし→まとめて詰む | 中:声かけはあるが自分の管理も必要。声かけはあるが自分の管理も必要。 | 易:その場で進捗を見てもらえる |
| レポート(内容の理解) | 低:自分で調べ切れないと止まる | 中:チャット等で質問できる | 高:隣で一緒に進めやすい |
| スクーリング準備 | 負担大:日程把握・移動・持ち物が全部自力 | 中:事前説明は受けやすい | 負担小:同行・段取り支援が入りやすい |
| 試験対策 | 差が出る:範囲管理・復習が独力 | 中:学習会・質問の場を作りやすい | 高:対面で弱点補強しやすい |
| 継続(生活リズム) | 崩れやすい:起点がない | 中:予定は入るが自宅に引き戻されることも | 整えやすい:通学が“時計”になる |
| 特別活動 | 見落としやすい:情報を取りこぼす | 中:案内が届けば動ける | 対応しやすい:参加設計を一緒にしやすい |
※オンライン型の注意点:オンライン型は相性が良いと進めやすい一方、先延ばしが続いて学習システムを開かなくなると、連絡・進捗ともに止まりやすくなります。
なぜ「自力」だと単位を落としやすいのか(よくある3パターン)
自宅学習型で多いのは、能力の問題というより「設計ミス」です。
- 締切が遠いほど、動かなくなる
「まだ大丈夫」が続き、最後に物量が残ります。 - 分からない所で止まり、再開できない
完璧主義で1つつまずくと、次の科目も全部止まりがちです。 - 生活リズムがずれて、スクーリング・試験日に合わない
ここで一気に取り返しが難しくなります。
つまずきやすさのチェックリスト
自宅学習型にも向いている方は以下のようなタイプです。
- 毎日、同じ時間に起きている
- 締切をカレンダーに書き入れたり、自分で予定を管理できる
- 分からない時に奥せず「質問する」「調べる」をすぐ実行できる
- 家で一人でも、学習をを始められる
- 予定(スクーリング/試験)に合わせて行動を調整できる
チェックが少ない場合は、自宅学習より「声かけ」や「対面サポート」がある環境の方が安心です。
まとめ:単位を落とすのは“能力”より“環境の相性”が原因になりやすい
通信制で単位を落とすケースは、本人の能力不足というより、今の状態に対して、学習環境が合っていないことが多いです。
- 費用を抑えたい/自己管理に自信がある → 自宅学習型
- 外出は控えたいが、声かけは欲しい → オンライン型
- 生活リズムを整えたい/対面で安心したい → 通学サポート型
「無理なく続けられる形」を先に選ぶことが、卒業に一番近いルートになります。

