書くのが苦手な生徒が辿り着いた、パソコンで進める新しい勉強法

つくば高等学院の生徒には、文字を書くことが苦手な生徒が多数います。
ノートに長い文章を書く負担が大きく、学習がなかなか進まないこともありました。

そんな中でこの生徒が見つけたのが、パソコンを使い、問題集の内容をWordに入力しながら進める“タイピング型の学習法”です。
これは単なる代替ではなく、学習としてとても理にかなった方法でした。

複数の感覚を使う「マルチモーダル学習」

この学習法のよいところは、読む → 打つ → 見直すといった複数の感覚や動作を自然に使う点にあります。
これを教育学では“マルチモーダル学習”と呼び、記憶の定着を助ける方法として知られています。

具体的には、

  • 目で問題文を読む
  • 手でタイピングする
  • 画面を見て入力内容を確認する
  • 図形を描いたり吹き出しを配置する
  • ときどき言葉をつぶやきながら考える

こうした複数経路の学習は、ただ読む・ただ書くよりも脳が活発に働き、理解が深まりやすいと言われています。

ここの「聞く」は、つぶやいた自分の言葉です。

一つの問題に“時間をかける”ことで深まる理解

この生徒は、白地図に「信濃川」を描こうとして苦戦したり、
阿蘇山の位置を吹き出しに追加する際に、Wordの操作に慣れず何度も調整したりしていました。

しかし、この“手間がかかる時間”こそが学びの質を高めます。
教育学では“深い処理(deep processing)”と呼ばれ、
こうした試行錯誤の時間はもっとも記憶に残りやすく、理解が進むと言われています。

苦労した場面ほどよく覚える。
まさにその典型でした。

実は、私自身も高校時代に同じ学び方をしていた

この生徒の姿を見て、私は自分の高校時代を思い出しました。
試験前、ワープロに教科書や問題集を入力しながら勉強していたのです。

「読む → 打つ → 見直す」という流れが、自分にとって理解しやすい方法でした。
だからこそ、この生徒の取り組みを見て、
「これはきっと続けられる」
「この方法は本人の強みになる」
と感じました。

ICTスキルと学習内容が同時に身につく効率的な学び方

Wordを使った学習では、内容の理解と同時に、

  • タイピング
  • Word操作
  • 図形挿入
  • レイアウトの調整
  • パソコン基本操作

などのICTスキルも自然と身につきます。

勉強とスキル習得が同時に進む、効率の良い学習方法といえます。

苦手があっても、学び方は選べる

“書くのが苦手”という特性があっても、学習方法を工夫すれば、理解は進み、勉強は続けられます。
そして「自分に合った方法で学ぶこと」こそが、長く学びを続けるための大切なポイントです。

つくば高等学院では、生徒一人ひとりの特性や得意不得意に合わせて、
“できる方法で、できるところから”
無理のない学びを支えていきます。

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