ディスレクシアのICT支援:「書くのが苦手」は、知恵と挑戦の始まり

「書くのが苦手」だからといって、進路や挑戦まで止める必要はありません。
つくば高等学院では、読み書きの負担がある生徒に対して、タイピングなどICTを使って“提出や学習を止めない形”を一緒に作ってきました。

ICT支援:「書くのが苦手」でも大丈夫。

12年の伴走で出会った、ひとつの「生存戦略」

2014年、フリースクールを始めて間もない頃に出会った生徒がいます。
当時は小学生。彼は家ではJavaを家族と一緒に取り組んでいました。一方で、「書くこと」には、大きな困難がありました。ちなみに当時は、つくば高等学院で夕方にプログラミング教室を開いていました。

小学校高学年と、中学・高校の6年間、そして大学生になった今も、彼はボランティアとして教室に顔を出してくれています。
私にとっても、当校にとっても、彼は歴史そのものです。

苦手を“訓練”で押し切らない

彼が選んだのは、「根性で慣れる」ではありませんでした。
高校時代のレポートや課題は、得意なタイピングを軸にして、ICTを使いながら前に進めていきました。

大事なのは、苦手を消すことではなく、学びや提出が止まらないやり方に置き換えることです。
そのほうが、学習内容そのものに時間と力を使えます。

ただし、プログラミングと数学、理科には猛烈に取り組んでいました。これについては、根性というより楽しいようで、時間もあっという間に過ぎてしまいます。

仕事の現場で生まれた“技”が、いちばん強い

印象的だったのは、アルバイト先で領収書が必要になったときの工夫です。
彼は自分から、こう切り出しました。

「あらかじめ宛名を書いていただいてもいいですか?」

お客様に先に書いてもらった文字を手本にして写す。
誰かに教わったマニュアルではなく、自分の特性を理解した上で、現場で回る方法を自分で作ったのです。

私はこの姿に、ICT支援の核心を見ました。
「できない」を抱えたままでも、方法を見つけて前に進める。それが本当の強さです。

「○○が苦手だから無理」と決めなくていい

「書けないから学校が無理」
「できないから挑戦できない」
そう決めつけてしまうと、選択肢は一気に狭くなります。

でも実際は、やり方を変えれば前に進める場面がたくさんあります。
通信制高校でも、フリースクールでも同じです。
必要なのは、“通信制だから仕方ない”と諦めることではなく、自分に合うやり方で進めるという発想です。

つくば高等学院が大切にしていること

私たちは、こうした現場で生まれた知恵を大切にしています。

  • 苦手を無理に克服させるより、止まらないやり方に変える
  • よく分からなくても、まず試してみる
  • うまくいかなければ、方法を変えてもう一度やる

この「試して更新する」感覚が、進路にも仕事にもつながっていきます。

まずは「止まりやすい場面」だけ教えてください

書くことの負担は、「全部が苦手」というより、場面によって強く出ることが多いです。
たとえば「手書きの記入」「レポートの文章」「板書の写し」「提出の手順」など、止まり方は人によって違います。

つくば高等学院では、苦手を無理に矯正するよりも、止まりやすい場面を“別のやり方”に置き換えて、学びと提出ができる形を一緒に作ります。

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