全日制の高校生のみなさんは、まもなく中間テストでしょうか。
留年、留年とさんざん言われている人もいるのでは?
さて、留年とはどんなものか説明していきたいと思います。
高校での留年とは
「留年」は正式には「現級留置」と言いいます。意味は何らかの理由で単位が修得できず、同じ学年に留まることです。学習指導要領には「留年」という言葉はなく「原級留置」になっていたと思います。
留年は高校では本当にある
高校で留年がないと思い込んでいる人も多いようですが、高校では本当に留年があります。もしかしたら、あなたの学校には留年している生徒がいないかもしれません。しかし、必ず、留年している生徒がいる学校はあります。私の高校時代にもいましたし、私が全日制の工業高校に勤務していた時も留年していた生徒はいました。遠い昔の話で片づけてはいけませんね。
留年した生徒が新年度の4月は後輩の中で頑張ってみたものの、5月、6月に通信制高校に転校するケースは決して珍しいとは言えません。私も何度か見ています。
押さえておきたい高校留年2つの基準
全日制高校で留年する条件や基準は大まかに2つあります。
出席日数の不足による留年
全日制高校は年間の授業時間数に対してある程度の決められた時間数以上を休むと出席時間数の不足で単位修得ができなくなります。
出席日数といってしまうと、学校に行った日としてカウントしそうですが、科目ごとの授業の出席時間数になります。
この時間数は学校や県などによって違っています。三分の一以上休むと単位が取れないケース、五分の一と定められたケースなど学校によって違います。状況によってもっと多く休んでも単位が取れるケースも聞いています。具体的には生徒手帳などに書いてあったり、学校が規則として決めているようです。詳細は学校に確認が必要です。
これまで聞いてきたケースなので、本当にそれで全国一律で単位が出るのかは不明ですが、出席日数が足りないとき、足りなくなりそうな生徒に対して長期の休み夏休みや春休みに補習授業などを行う学校があり、それで出席として認めてもらえたというケースがありました。
遅刻何回で欠席?
よく、遅刻3回で欠席になると聞きます。これは学校ごとに違うので生徒手帳の学則を確認したり、先生に確認しましょう。全国的に何か具体的な決まりがあるわけではありません。
遅刻した時間によって何分以上遅刻すると欠席になるケースもあります。
5分以上の遅刻、10分以上の遅刻、15分以上の遅刻など学校によって様々です。
月曜の朝、保健体育などの学年をまたいで2単位の週1の授業。1時間目にあると朝に弱い人だとけっこう厳しいものがありますね。私が全日制高校で仕事をしていたころ、月曜の朝、毎回遅刻して留年しかけた生徒が何人かいました。高校の遅刻しすぎは欠席につながるだけでなく、調査書に書かれて進路への影響も出るので要注意です。
補足:早退も同様です。
成績不振による留年
成績不振による留年は簡単に言うと成績通知表のいずれかの科目で年度末に”1”が付いたら留年が確定するという意味です。
年度末の通知表に”1”が付く条件として、テストの点数が悪く、学校によって基準が違いますが落第点(赤点)を取ってしまったケース。
留年があること自体を信じられない人は、赤点が本当にあるのかさえ疑ってしまうかもしれませんね。
それからテストの点数は良かったが、授業態度が悪すぎて1が付いてしまうケース。騒ぎまくったり、ずっと寝ていたりすれば授業には参加していないのと同じと考えたり、あるいは妨害など様々な観点から1が付いてしまいます。
テストでカンニングをしたりすると1が付くというケースも聞いています。
1が付くかどうかというのは年度末までの成績を合算してのことです。
「前期の中間試験で悪い点を取ってしまったから留年するかも。」とは考えなくても大丈夫です。
学年末まで授業はもちろんテストも数回あると思うので、平均点数で挽回しましょう。
ちなみに、赤点は学校によって点数が違うので要注意です。30点のところもあれば、50点のところもあり、それ以外の学校もあります。
追試によって留年を免れることもある
学校の方針や科目の先生の方針にもよりますが、テストの点数が悪くて留年しそうな場合は「追認試験」、通称「追試」が受けられます。
これは成績不振者への救済措置で追試で点数が取れれば留年を免れることができます。また補習授業を受けてから、追試に臨む場合もあり点数は取りやすくなることもあります。
しかし、追試で点数が取れなければ、一般的には留年が確定します。
ただし、出席日数が足りない場合は追試には臨めないのが一般的です。
通信制高校は留年がない
ちなみに通信制高校には留年という概念がなく、再履修という言い方をします。大学もそうですが単位制なんですね。すこし単位を落としたくらいでは卒業は遅れません。
留年してしまった生徒
留年した生徒の翌年の行動はいくつかのパターンに分けられます。
成績表を見る前に留年が決まった段階で通信制高校へ転校すると遅れずに卒業できることもあります。
ほかについては細かく見るといろいろありそうなので割愛します。
高校で留年する人の特徴
高校で留年する理由は、主に「出席日数の不足」と「成績不振」が挙げられます。しかし、朝起きられない、体調が悪い、精神的な不調など、原因は人それぞれです。そのため、留年する人に共通する特徴を一概に挙げるのは難しいでしょう。
留年の理由は、体調不良、精神的な問題、学力不振、学校との相性の悪さなど、さまざまです。
結論として、留年する人に共通する特徴というのは特にはありません。
留年か転校か、卒業が遅れないようにしたい
留年が決まったとき、留年するか転校するかで悩む方も多いのではないでしょうか。正直なところ、私は留年するよりも転校をお勧めしたいと思っています。
12月までに転校すれば、卒業が遅れる可能性も低く、基本的には予定通り卒業できます。ただし、1月以降の転校は認められても、単位の習得が認められないこともあり、要相談となるケースがあります。
つくば高等学院に転校した生徒の多くは、のびのびと楽しそうに過ごしており、保護者の方々からも喜びの声をいただいています。
もちろん考え方は人それぞれですが、無理をして大変な学校を卒業するのも一つの選択です。しかし、自分のペースで過ごせる学校で無理なく学ぶのも、良い選択肢ではないでしょうか。
留年する高校生の割合
2019年の調べでは全国で約1万人の高校生が留年しています。割合としては0.3%とかなり低い数字です。
出典:文部科学省「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
留年する生徒以外にも、転校したり退学する生徒もいます。
理由は様々ですが、転校や退学する生徒は、年度末だけでなく年度の途中でも見られます。
高校の留年は何回までできるか?
通信制だと10年くらいいてもOKなこともありますが、一方で5年までなど規定を設けることがあります。全日制高校の留年も実は同様で、学校によって大分違いますが6年までとか10年までとか決められていたり、一方では規定を設けていない場合もあるようです。
規定については学則になるのでお手持ちの生徒手帳や学則を見てみましょう。
高校の留年で死ぬとかやめましょう
高校の留年で「死ぬ」とか、そんなことは考えないでください。確かにショックは大きいかもしれませんが、留年する前に通信制高校への転校を検討したり、先生や家族に相談することが大切です。
「高校 留年」と検索すると、「高校 留年 死ぬ」というキーワードが出てくることがあります。1年の留年は、人生の貴重な時間を失うように感じるかもしれませんし、周りの目が気になることもあるでしょう。でも、死ぬ必要なんて全くありません。
通信制高校では、4年以上かけて卒業する生徒も多くいます。「みんなと一緒に3年で卒業しなければならない」と決めつけず、「高校卒業」という目標に切り替えて、新しい環境で頑張ってみませんか?
私は現在も通信制高校相談センターの管理人をしており、これまで留年してしまった人や留年しそうな人たちから多くの相談を受けてきました。卒業後に感謝のメールや電話をいただいたこともあり、それは今でも心に残っています。
だから、もし留年のことで悩んでいるなら、まずは一度ご相談ください。留年は決して人生の終わりではありません。新しい道を一緒に見つけましょう。今は辛いかもしれませんが、絶対に一人で悩まず、死ぬなんて考えないでくださいね。
ちなみに、大学では留年率が高いところもあり、平均すると約2割の学生が留年しているようです。高校での留年が、人生に大きな影響を与えるわけではありません。
困ったときは、ぜひ話を聞かせてください。一緒に考えましょう。
高校で留年しそうで怖い人へ
留年を何とも思わないという人もいるかもしれません。
一方、いろいろな気持ちから多少の恐怖を感じる人もいると思います。
留年を恐れる原因がなにか、なぜ怖いのかを考えてみましょう。
人によって精神的な要因や体調不良、あるいは勉強についていけないなど、それぞれ理由は異なりますが、留年の原因は「出席日数の不足」と「成績不振」の2つに集約されます。
なんで出席日数が足りなくなりそうなのか?
なんで成績不振なのか?
自分自身に問いかけてみてください。
どうすればいいのか、自分で解決できる場合もあります。
自分の力だけでは難しい精神的な問題や体調のことが原因であれば、早めに医師やカウンセラーの助けを借りることも検討しましょう。
そのうえで、目的を「高校を卒業すること」「就職すること」「大学進学」と考えれば、通信制高校で学習するという選択肢も出てくると思います。
恐れや不安を抱えていることは普通のことです。無理に解消する必要もありません。
大切なのは、今の自分の気持ちを受け止め、その中でできることを少しずつ探していくことです。
無理をせず、自分自身を大切にしながら、心の準備ができた時に行動できることを考えてみてください。あなたのペースに合わせた選択肢は常にあります。