全日制の高校生のみなさんは、まもなく中間テストでしょうか。
留年、留年とさんざん言われている人もいるのでは?
さて、留年とはどんなものか説明していきたいと思います。
高校での留年とは
「留年」は正式には「現級留置」と言いいます。意味は何らかの理由で単位が修得できず、同じ学年に留まることです。学習指導要領には「留年」という言葉はなく「原級留置」になっていたと思います。
留年は高校では本当にある
高校で留年がないと思い込んでいる人も多いようですが、高校では本当に留年があります。もしかしたら、あなたの学校には留年している生徒がいないかもしれません。しかし、必ず、留年している生徒がいる学校はあります。私の高校時代にもいましたし、私が全日制の工業高校に勤務していた時も留年していた生徒はいました。遠い昔の話で片づけてはいけませんね。
留年した生徒が新年度の4月は後輩の中で頑張ってみたものの、5月、6月に通信制高校に転校するケースは決して珍しいとは言えません。私も何度か見ています。
押さえておきたい高校留年2つの基準
全日制高校で留年する条件や基準は大まかに2つあります。
留年の基準:出席日数?出席時数?の不足による留年
出席の捉え方
全日制高校では、「出席日数」ではなく 科目ごとの出席時間数が評価対象になります。
いわゆる「学校に行った日」ではなく、各授業の時間(50分単位や週1コマ)単位で数えられます。
出席日数といってしまうと、学校に行った日としてカウントしそうですが、科目ごとの授業の出席時間数になります。
欠席の基準は学校や県ごとに異なる
多くの学校で 「年間授業時間の3分の1以上欠席すると単位不可」 となっています。(例:1単位=週1回=35時間の授業→11時間以上欠席でアウト)
ただし、中には 「5分の1」「4分の1」 といった柔軟な設定や、学校によっては事情によって「2分の1」という設定もあります。
繰り返しになりますが、最終的な基準は生徒手帳や校則に記載されているものが正式です。県や学校によって公式ルールが異なるため、詳細は必ず確認しましょう。
補習や救済措置が取られるケースも
出席不足が見込まれる場合、高校によっては夏休みや春休み中に補習授業を実施し、それを「出席」とみなす仕組みを設けています。ただし、これも学校の判断に委ねられるため、全校一律の制度ではありません。「遅刻○回で欠席1回」「○分遅刻で欠課換算」など、細かい数え方も学校ごとに異なりますので要注意です。
遅刻何回で欠席?
よく、遅刻3回で欠席になると聞きます。これは学校ごとに違うので生徒手帳の学則を確認したり、先生に確認しましょう。全国的に何か具体的な決まりがあるわけではありません。
遅刻した時間によって何分以上遅刻すると欠席になるというケースもあります。
5分以上の遅刻、10分以上の遅刻、15分以上の遅刻など学校によって様々です。
月曜の朝、保健体育などの学年をまたいで2単位の週1の授業。1時間目にあると朝に弱い人だとけっこう厳しいものがありますね。私が全日制高校で仕事をしていたころ、月曜の朝、毎回遅刻して留年しかけた生徒が何人かいました。高校の遅刻しすぎは欠席につながるだけでなく、調査書に書かれて進路への影響も出るので要注意です。
補足:早退も同様です。
✅ ポイントまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
✅「出席日数」ではない | 科目・授業時間単位でカウント |
✅ 基準は学校によって違う | 3分の1、5分の1、2分の1 |
✅ 補習で出席扱いされる例あり | 長期休暇中の救済措置を要確認 |
✅ 遅刻が欠席に換算される | 規則は個別校則に従う |
🔎 対策:「欠課時数」の見える化
- 自校の 生徒手帳や校則 をチェック。
- 教科ごとの 欠課許容時間 を把握。
- 遅刻早退も含めて 担任と定期確認。
- 長期休暇期間の補習制度や救済措置がある学校ならしっかり確認して抑える。
留年の基準:通知表に“1”がつくと留年確定
年度末の通知表で、どれか1つでも“1(最低評価)”がつくと留年対象となります。
これは、単にテストの点数が悪かっただけでなく、通知表の総合評価で“1”が付いてしまった場合を指します。
💯 “1”がつく代表的な原因
要因 | 解説 |
---|---|
赤点(落第点)による評価“1” | テストの点数が基準未満(赤点)だと、“1”がつくことがあります。赤点の基準は学校によって異なり、30点・40点・平均点の4分の1など多様です |
授業態度の問題で“1” | テスト点数は良くても、授業中に騒ぐ、寝る、妨害行為などがあれば、評価として“1”が付くこともあります。 |
カンニングなどの不正行為 | テストでの不正が発覚すると、自動的に“1”をつけられるケースもあります。 |
評価は「年度末までの総合評価」で判断
年度中の一時的な失敗(前期中間テストなど)だけで留年するわけではありません。以下のような時期を通じて総合判断されます:
- 前期・後期の中間テスト
- 期末テスト
- 授業態度や提出物、態度評価などの総合的な評価
そのため、「前期の中間テストで点数が悪かった…」としても、年度末までに十分挽回できる余地があります
✅ 要点まとめ
- 通知表で“1”が付く=留年対象
- “1”の原因は赤点・態度・不正行為など複合的
- 前期の失敗だけでは留年確定ではない
- 年度末までの評価を総合的に判断
- 赤点基準(30点・平均点の4分の1など)は学校ごとに異なる
✔️ 攻める対策
赤点にならないように、定期テストは目標点(30~50点以上)をクリア。多くの高校では30点未満が赤点ラインです。
- 授業態度・提出物・ノート・参加姿勢など通知表評価の要素を日頃から丁寧にケア。
- 年度末直前まで成績を上げる意識で継続学習。中間テストで挫折しても、追試や期末試験で挽回できます。
- 学校ごとの赤点基準を担任や教務に確認し、目標を明確に。
🎯 追試(追認試験)による救済措置
成績が基準に達せず、通知表で“1”がつき進級が危ぶまれる場合、「追認試験」(通称:追試)が実施されます。これは、成績不振者に対する救済措置で、合格すれば留年を避けることが可能です。
- 通常、多くの高校では補習授業の後に追試へ臨む流れがあり、学習の準備が整った上で挑戦できます。
- 追試を受けなかったり合格できなければ、留年が確定します。
🚫 出席不足の場合は追試が受けられないことも
- 成績不振だけでなく、出席日数(欠課時間)が足りない場合、追試の受験資格が得られないのが一般的です。
- この点について、高校での進級には出席と成績の両方を満たす必要があり、出席不足の場合は救済措置に進めないケースが多いです。
✅ ポイントまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
追試とは | 成績不振者向け救済措置の追認試験。合格すれば留年回避可能 |
補習の後で実施 | 追試前に補講があり、十分な準備が可能 |
不合格なら留年確定 | 追試で基準点に到達しなければ留年 |
出席要件も重要 | 出席不足だと追試自体を受験できないことが多い |
🧭 次のアクション
- 学年末前に、担当教員と現状と対策を確認・相談する
- 自校の追認制度(受験対象・スケジュール・基準)を確認する
- 出席要件を満たしつつ、追試に備えた補習参加を徹底する
通信制高校は留年がない
ちなみに通信制高校には留年という概念がなく、再履修という言い方をします。大学もそうですが単位制なんですね。すこし単位を落としたくらいでは卒業は遅れません。
留年してしまった生徒
留年した生徒の翌年の行動はいくつかのパターンに分けられます。
成績表を見る前に留年が決まった段階で通信制高校へ転校すると遅れずに卒業できることもあります。
ほかについては細かく見るといろいろありそうなので割愛します。
高校で留年する人の特徴
高校で留年する理由は、主に「出席日数の不足」と「成績不振」が挙げられます。しかし、朝起きられない、体調が悪い、精神的な不調など、原因は人それぞれです。そのため、留年する人に共通する特徴を一概に挙げるのは難しいでしょう。
留年の理由は、体調不良、精神的な問題、学力不振、学校との相性の悪さなど、さまざまです。
結論として、留年する人に共通する特徴というのは特にはありません。
留年か転校か、卒業が遅れないようにしたい
留年が決まったとき、留年するか転校するかで悩む方も多いのではないでしょうか。正直なところ、私は留年するよりも転校をお勧めしたいと思っています。
12月までに転校すれば、卒業が遅れる可能性も低く、基本的には予定通り卒業できます。ただし、1月以降の転校は認められても、単位の習得が認められないこともあり、要相談となるケースがあります。
つくば高等学院に転校した生徒の多くは、のびのびと楽しそうに過ごしており、保護者の方々からも喜びの声をいただいています。
もちろん考え方は人それぞれですが、無理をして大変な学校を卒業するのも一つの選択です。しかし、自分のペースで過ごせる学校で無理なく学ぶのも、良い選択肢ではないでしょうか。
留年、退学する高校生の割合
留年を心配しますが、留年する生徒以外にも、転校したり退学する生徒もいます。
2023年の調べでは全国で約9,000人の高校生が留年しています。割合としては0.3%とかなり低い数字です。ですが、高等学校における中途退学者数 46,238 人(1.5%)となっています。
出典:文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 本体資料」
理由は様々ですが、転校や退学する生徒は、年度末だけでなく年度の途中でも見られます。
高校の留年は何回までできるか?
通信制だと10年くらいいてもOKなこともありますが、一方で5年までなど規定を設けることがあります。全日制高校の留年も実は同様で、学校によって大分違いますが6年までとか10年までとか決められていたり、一方では規定を設けていない場合もあるようです。
規定については学則になるのでお手持ちの生徒手帳や学則を見てみましょう。
🌱 留年しても終わりじゃない。通信制高校というもう一つの道
■ はじめに
高校で留年が決まったり、決まりそうになったとき、「もうおしまいだ」「進路がなくなった」と感じるかもしれません。でも、そこで終わりではありません。
通信制高校という選択肢が、新たなスタートになります。
🔁 留年後の選択肢としての通信制高校
● 留年=一律やり直し、ではない
全日制高校では、1年分を丸ごとやり直す「原級留置(同じ学年にとどまる)」ですが、通信制高校では“単位制”が採用されています。
つまり、
- 落とした科目だけ再履修すればよい
- これまでの取得単位はそのまま活かせる
- 自分のペースで進められる
という、無理なく続けられる制度設計になっています。
🚪 通信制に転校した生徒の声
- 「人目を気にせず、自分のペースで学べた」
- 「先生が優しく、初めて“学校って居心地いいかも”と思えた」
- 「最短で卒業できたとき、本当にほっとした」
留年をきっかけに通信制高校に転校した多くの生徒が、“これでよかった”という実感を持って卒業していきます。
🧭 実際の流れ(例)
- 現在の高校で留年確定 or 見込み
- 保護者や先生に相談しながら、通信制高校を検討
- 転入(4月・10月が多いが、随時可能な学校も)
- 今までの単位を引き継ぎつつ、新たに不足分を履修
- 最短で卒業 or じっくり学び直しもOK
🎓 卒業の瞬間に得られるもの
- “終わらせた”という自信
- 周囲の人たちからのあたたかい言葉
- 「あのとき選び直してよかった」という納得感
そしてなにより、「高校卒業資格」という確かな結果。
✅ まとめ:あなたに伝えたいこと
卒業後、「あのとき動いてよかった」と思える日が来る
留年しても、やり直せる場所はある
通信制高校なら、今までの努力も無駄にならない
転校後も最短で卒業できる可能性がある
一人ひとりに合った学び方が用意されている
高校で留年しそうで怖い人へ
留年を何とも思わないという人もいるかもしれません。
一方、いろいろな気持ちから多少の恐怖を感じる人もいると思います。
留年を恐れる原因がなにか、なぜ怖いのかを考えてみましょう。
人によって精神的な要因や体調不良、あるいは勉強についていけないなど、それぞれ理由は異なりますが、留年の原因は「出席日数の不足」と「成績不振」の2つに集約されます。
なんで出席日数が足りなくなりそうなのか?
なんで成績不振なのか?
自分自身に問いかけてみてください。
どうすればいいのか、自分で解決できる場合もあります。
自分の力だけでは難しい精神的な問題や体調のことが原因であれば、早めに医師やカウンセラーの助けを借りることも検討しましょう。
そのうえで、目的を「高校を卒業すること」「就職すること」「大学進学」と考えれば、通信制高校で学習するという選択肢も出てくると思います。
恐れや不安を抱えていることは普通のことです。無理に解消する必要もありません。
大切なのは、今の自分の気持ちを受け止め、その中でできることを少しずつ探していくことです。
無理をせず、自分自身を大切にしながら、心の準備ができた時に行動できることを考えてみてください。あなたのペースに合わせた選択肢は常にあります。